いぬねこデンタルサービス豊平動物病院

診療時間

午前
9:00 ~ 12:00

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午後
15:30 ~ 18:00

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祝日、年末年始などは不定休あり

完全予約制診療

TEL011-858-5820

札幌市白石区栄通6丁目4-15 IDSビル (東北通り沿)

口腔外科・歯科

口腔外科・歯科への院長の思い

- Director's thoughts on oral surgery and dentistry -

臨床についたばかりの頃、いわゆる「歯石取り」の処置をした後、オーナーから「なんか前よりも歯石の着き方がひどくなったような気がする」と苦情をいただいたことがありました。
正直なところ、当時は理由がわからないままでした。

実は、超音波や器具によって歯石を落として肉眼的にきれいになっても、歯の表面には取り残しがたくさん残っていることを知らないまま、治療をしたつもりになっていました。
恥ずかしい話ですが、30年前は、こんな基本中の基本も知らずに仕事をしていました。

1996年の開業後、学会の訓練課程に参加したり、著名な先生をお呼びして直接指導していただいたり、海外の文献を調べるなど勉強を始めて、自分がいかに無知だったかを知ることになります。
その後は少しずつ少しずつ出来ることを増やしてきたつもりです。
その当時は日本語で書かれた教科書や参考書はごくわずかで、今とはずいぶん事情が違うものでした。

遅々とした歩みではありますが、移転を機に「いぬねこデンタルサービス」という専門診療の名前を使うことにいたしました。
歯科ではなく「口腔外科・歯科」と標榜したのは、単に「歯を治す」ことよりも、総合的な口腔の機能を最大限に守ることが犬と猫では重要だと考えるからです。

また、動物のサイズが小さくなればなるほど、口腔疾患が頭部の骨に重大な悪影響をもたらすため、北海道医療大学歯学部および北海道大学薬学部と、骨再生治療についての共同研究も実施しています。

旧クリニックでも歯科治療専用の独立した手術設備がありましたが、より広い手術室を確保して検査・診断・治療がスムーズに進むように工夫しました。検査の面ではより詳しい画像診断ができるよう、国内の動物病院では初めてデンタルCTを導入しました。
デンタルエックス線では理解しにくい三次元的な病態の理解に威力を発揮しています。

二十数年の知識と経験、より充実した医療設備で、口腔と歯の悩みに苦しむ犬と猫の治療に生かして行きたいと願っています。

全身麻酔に対する院長の思い

           - Director's thoughts on general anesthesia surgery and dentistry -

私たちが技術的なことと同じくらい大切にしていることは、より安全な全身麻酔の追及です。
30年前なら、「10歳を過ぎた犬猫は全身麻酔のリスクが高いから手術できない」が常識だったようですが、今や15歳を超えても元気な犬、20歳の元気な猫もいる高齢ペット社会になりました。

このような高齢になって「食べたいのに口が痛くて食べられない」という問題を解決できなければ、それは何と残酷なことでしょうか。

高齢動物の手術に立ち向かうには、麻酔を実施する私たちの知識・手技と勇気だけでなく、高水準の麻酔設備が不可欠です。
たとえば、犬猫では、事前に換気量(肺活量)の検査ができないため、「この子がどのくらいの換気能力があるのか?」という問いには、麻酔を開始して初めて答えが出るという世界です。

そういう意味でも、一般に「動物用」と称される安価な麻酔器では「とりあえず酸素と麻酔ガスを出せれば良い」というレベルのものであり、肺機能が低下している可能性のある高齢動物の呼吸管理には危険を伴います。
私たちの麻酔機器の中心は、GE製の最新の麻酔ワークステーションです。人間の麻酔科の先生が垂涎するほどの麻酔器を中心に、バックアップ用の麻酔器も据えて、さまざまな事態に対応できる訓練を欠かさずに行っています。これらの超優秀な機材が、私たちに勇気を与え、また背中を押してくれています。

以上のことから、私たちのクリニックでは「〇〇歳以上は手術できません」とは規定せず、その子の状態を把握した上で手術可否の判断を行っています。

当クリニックでは、下記の
口腔外科/歯科治療を行っています。

歯科予防処置

- Dental Prophylaxis -

口腔内の検査と歯周病予防のための専門的なクリーニングで、口腔の健康を守るためにもっとも大切な処置です。たんなる「歯石取り」ではありません。エックス線検査や触診検査の結果を見ながら、歯石やプラークをていねいに除去し、歯の表面の研磨、歯肉縁下の清浄化などを常に同じクオリティで実施します。若い動物の軽度の歯周病であれば、この処置だけで骨が回復することも期待できます。

歯周病治療

- Periodontal Disease -

歯周病は多くの犬猫が罹患している口腔の病気です。肉眼で見える部分よりも、歯根の周辺の歯槽骨・顎骨といった見えない部分にかかわる病気のため、触診やエックス線検査・CT検査などを用いてステージングを行います。人間は歯周病で亡くなることはありませんが、犬と猫の重症例では命を落とすこともある病気です。重症例では抜歯が主な治療となりますが、骨欠損が著しい場合には骨再生治療なども併用する必要があります。また、口腔内の炎症が強い場合は、手術が一度では終わらないこともあります。

歯内治療

- Endodontics -

歯が折れた、割れたなどの外傷の治療には、歯内治療が必要となります。これらの外傷では歯の中心部分にある「歯髄」が炎症を起こしていたり、壊死していることも多く、根管から歯髄を取り除いて樹脂を充填する治療です。歯の大きさや歯根の形態によって、2年治療率に大きな差があること、また1年ごとの全身麻酔下での検診が必要なことから、抜歯治療のほうが動物にやさしい場合もあります。

矯正治療

- Orthodontics -

いわゆる不正咬合の治療です。トイ種の幼若犬では乳歯遺残が起こりやすく、結果として永久犬歯が内側にずれたり上下でぶつかったりすることがあります。永久歯の先端が萌出した段階で乳歯が並んでいる場合は、なるべく早期の乳歯抜歯が望ましいです(受動矯正)。永久歯列が完成した段階での不正咬合は、矯正装置による治療もある程度は可能ですが、動物が装着を受け入れないケースも多いため、ぶつかる歯の抜歯や歯冠短縮による治療のほうが動物にやさしい場合が多いです。なお、ドッグショー用の矯正治療は行いません。

口腔外科

- Oral Surgery -

顎骨折の整復、口腔内腫瘍の顎切除手術、口蓋裂・口唇裂や硬口蓋欠損の修復、歯原性嚢胞の摘出、骨再生による口腔鼻腔瘻の治療などを行っています。

猫の口内炎治療

                 - Feline Stomatitis -

犬と違って猫では、口腔内全体にわたる非常に重度の口内炎が生じることがあります。猫の口内炎は、歯周病だけでなく猫カリシウイルスや猫免疫不全ウイルス、免疫異常などが絡み合って生じることが多く、長期の治療が必要になるケースが多く見られます。ほとんどの場合で、歯周病菌への過剰な免疫応答が一因となっているので、「歯周病菌の居場所をなくす」ための全顎抜歯が治療の第一段階となります。潜伏ウイルスの検査や粘膜の病理検査結果を見ながら、その後の内科的な治療を進めてゆきます。

歯科・口腔外科診療の流れについて

- About the flow of dental and oral surgery -

初診・身体検査

- First visit / physical examination -

問診と身体検査を行ない、全身の状態をチェックします。

麻酔前検査

- First visit / physical examination -

全身麻酔が安全に遂行できるかどうか、
血液検査・凝固系検査・心臓エコー検査で把握します。
検査料金は、年齢や基礎疾患のあり・なしで必要な項目が異なり、
12,000~20,000円程度です。

カウンセリング

- counseling -

大まかな現状と治療法とリスクの有無、
治療・手術費用などについて説明します。

詳しい検査・
処置・手術

- Detailed examination / treatment / surgery -

ペットの歯科・口腔外科の治療は、ほぼ全例で全身麻酔が必要となります。
また、全身麻酔の状態でなければ詳しい検査もできません。
検査・治療を含めて、できるだけ1回の治療で終えるように努めますが、
病状や治療内容によっては複数回の治療になることもあります。

定期チェック

- Regular check -

1~3ヶ月毎に定期的な口腔内の検診においでください。